Eat, Laugh, Love... a life in LA

ロサンゼルスからお送りするドタバタ滞在記

【後編】お風呂のお湯を溢れさせちゃった! 〜謝ったら負けのアメリカで全力で謝罪したらこうなった〜

こんにちは。

前回書いた、ユニットバスのお湯を溢れさせて下の家まで洪水にしてしまった話の続きです。

前編↓

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お風呂を溢れさせちゃった その後

さて、下の住人が怒鳴り込みに来たことから、どうやら下の家にまで水が漏れていることを理解して青ざめた私たち。

とりあえずありったけのタオルで我が家の洪水をなんとかし、放心状態で思ったのは

「下の人の対応、どうしよう。」

時は22:45すぎ、下に住む人はアメリカ人(当たり前か)。

謝罪に行くべき?今行くべき?明日にすべき?

 

数秒悩んで私が出した結果は 「今でしょ!」

 

家の拭き掃除と子供達のケアは夫に丸投げして、私は日本から(本当は別の方用に…笑)持って来ていた菓子折り片手に下の家に即ピンポン。

そして出て来たのは、パジャマ姿のご婦人でした。

しかも肩越しに見えるリビングと廊下にはバスタオルが山積み。

 

アメリカ人は絶対に謝らない?

まず、前提として欧米人は基本謝りません。自分が悪くたって謝らない。

現地の方々に聞いたところ、どうやら、謝る=自分の非を認める=自分の負け=訴訟問題になった時にも負ける、となるらしいです。

だから新人教育の時に「絶対に謝るな」と教えられる会社もあるとか。サービス業でも顧客に謝らないよう教育されるというからびっくりですよね。

(でも道を歩いていてぶつかったりとか、スーパーの通路ですれ違う時とか、Oops, sorry!と感じ良く言ってくれるアメリカ人はたくさんいる気がします。どう違うのだろう?やっぱり訴訟社会アメリカ、訴訟がチラつくと謝らないの?)

 

さて、でも今回はどうする。

・ 100%こちらの過失で下に住んでいる方のお宅を水浸しにしてしまった

・ 現在22:45、ご婦人(推定60歳、親子ほどの年の差…)はパジャマ姿

・ こちら引越しの挨拶すらしていなかった

 

もしかしたら強気で「私は悪くない!勝手に止まらないお風呂が悪い!」だとか「バスルームの床に排水口があればお湯が流れたわけだから、こういう造りのアパートが悪い!」だとか主張するやり方もあったかもしれない。実際現地の方に↑このように言えばよかった、と言われました。(カルチャーショックすぎる)

 

でも、私は日本人だし。まだ渡米して1週間目だし。

私は、ご婦人に平謝りすることにしたのです。

 

謝罪しまくる日本人(私)

とにかく低姿勢でいきました。アメリカ人はそんなことしない、訴えられたら私が完全に不利になる、と理解した上で。

 

だって、日本だったらそうしませんか?

自分達のせいで、下の方の大切なお宅が水浸しになってしまっただなんて。

 

I am so sorry to bother you at such a late time in the evening.

(夜分遅くにお邪魔してごめんなさい)

とか

I am terribly sorry that we caused this accident.

(このような事態を起こしてしまい本当に申し訳ありません)

とか、とにかく思い浮かぶ限りの英語の謝罪フレーズを言って、お風呂を汲んでいたら止めるのを忘れてしまったことを正直に伝えました。

 

バスタオルだらけのご婦人の家を見て、

Is there anything I can do to help?

(何かお手伝いできることはありますか?)

などと伺いつつ、合間合間に謝り倒していました。

 

結果、ご婦人のお宅はラグや電気も台無しになってしまっていたにもかかわらず、

It's okay. These things happen.

(大丈夫、こういうことって起こるものよ。)

I'm sorry I yelled at your husband earlier.

(先程はご主人に怒鳴ってしまってごめんなさいね。)

と言って下さったのです!

なんて優しい…しかもご婦人は悪くないのに謝ってくれるだなんて。なんだかいたたまれない気持ちになりつつ優しいご近所さんに感激していると、ご婦人が

 

Thank you for coming down to apologize. Not a lot of people can do that. I really appreciate it. Is your house okay? Do you have enough towels?

(謝りに降りて来てくれてありがとう。それって皆が出来ることじゃないのよ。本当に感謝している。あなたのお宅は大丈夫?タオルは足りている?)

 

のようなことを言って下さって。

え?!うちが悪いのになんか感謝されている?!なんでなんでなんで?!

 

ここはアメリカ。謝ったら最後、弱みにつけ込まれて完全敗北がお決まりのパターンじゃないの?!と混乱する私。

よく分からないけれど、もしかして…平謝りしたのが功を奏した?!

 

その後もご婦人はThank youと連発し、私は日本の菓子折りを手渡し、数日前に家族で日本から越して来たこと、子供が2人いること、アメリカに住むのは初めてで右も左もわからなくて、そんな中お風呂を溢れさせてしまって実は今にも泣きそうなこと等を拙い英語で話しました。

 

するとなんとご婦人、ありがたいことに「何か困ったことがあったら言ってね」なんて言って下さりました。そしてその日はもう夜遅いのでお互いタオルで床を拭き、家中の換気扇と扇風機を回して就寝。

 

翌朝ご婦人のお宅のブラインドが開いた後のタイミングを見計らってまた訪ねて状況をお伺いしました。

結果、こちらが悪いのに何度もThank you, thank you.と言われ、無事解決(?)。

 

管理人への報告

さて。下の方の対応は済んだけれど、次はアパートの管理人に報告しなければなりません。

水を溢れさせてしまった夜、「管理人になんて怒られるだろう」なんて考えて不安でなかなか寝つけませんでした。

スマホで「アメリカ お風呂 溢れさせた」と検索しては賠償金として100万円くらい請求されたという話を読んで胃がキリキリしたり。

 

そんなこんなで朝を迎え、9時一番に管理事務所に駆け込んだ私。

Oh, hi... Good Morning...

と私が言うや否や

So, you had a water accident last night. What happened?

(水のアクシデントがあったって聞いたよ。何が起きたの?)

と、私の目も見ずに言う管理人。

 

ヒー!!!なんでもう知ってるの?!

焦る私。

ここでも平謝りする日本人(私)。

I'm so sorry...

すると、

No, what happened?

(いや、だから、何が起きたの?)

 

あ、すみません…。謝ることに一生懸命になりすぎて聞かれたことに答えていませんでしたね。

…というやりとりを経て、ここでも正直に「お風呂のお湯を汲んでいたけど止めるのを忘れました。昨日のうちに下の階の方とも話しました。」と報告。そしてまた謝罪。

 

賠償金とか請求されちゃうのかな?

保険下りるかな、下りるよね…。

などと考えながら管理人の反応を待つこと数秒。

 

It's okay, don't worry. These things happen.

(大丈夫だよ、気にしないで。こういうのはよくあるから。)

 

え?!

気にしなくていい?!

賠償金100万円とか請求されないの?ていうか怒られないの?

ていうか良くあるの?!?!笑

 

そんなこんなで、覚悟を決めて管理事務所に行ったのになんだか拍子抜けしたまま終わりました。めでたしめでたし。

 

 

ちなみに私が報告する前に管理人が知っていた理由。

下のご婦人が夜のうちに管理事務所の緊急連絡先に電話し、夜中に人が来て対応していたらしい。それを知ってさらに青ざめる私たち。

 

本当に色んな方にご迷惑をおかけしてしまいました。そして、今後二度とお風呂を溢れさすまいと心に誓ったのでした。

 

謝ったら負けのアメリカで謝罪したらこうなった

今回、ありとあらゆるアメリカ人や海外経験者からの「アメリカでは絶対謝っちゃダメ」というアドバイスを完全無視して平謝りしました。だって、やっぱり日本人としては、100%自分に過失があるような今回の件で謝らないのは心が痛んだから。

 

謝ったら負け、弱みに付け込まれる、訴訟を起こされてお金を取られる…色々聞いていたけれど、今回は何も起きませんでした。むしろ逆にご婦人にはこちらの対応を感謝され、管理人にも大丈夫と言っていただき。

 

怒ったり、闘ったりするのってものすごいエネルギー使うじゃないですか。私が事なかれ主義というわけではないと思うのですが、やっぱり悪いと思った時は謝って、穏便に済ませられればそれが一番なんじゃないかと思いました。結果、みんながハッピーに笑顔で終われたわけだし。

 

こんなことするから日本人はナメられるんだと言われればそれまでなのですが、これからも自分が悪い時は謝る姿勢を忘れずに、なるべく謙虚に生きていきたいと思わされる一件でした。

 

 

おまけ

ちなみにお風呂を汲んでお湯を止め忘れた犯人は、夫です(笑)

でも私も任せっきりにしたのが悪いよね、ということで連帯責任かな。

 

 

長い話にお付き合い下さりありがとうございました。