アメリカの幼稚園③ 〜入園前の英語テスト〜
こんにちは。
長男がアメリカの幼稚園デビューをして1週間程経ちましたが、ついに泣かずに登園してくれるようになりました!まだまだ小さな体で歯を食いしばって頑張っています。
さて、アメリカの公立小学校付属Transitional Kindergarten (以下TK)のシリーズ続編です。
今日は、入園前に受けた英語の実力テストと、それにまつわる市や学校の対応についてです。
ELPACを受ける
テストの案内が郵送されて来た
幼稚園申請の際に提出した書類のひとつに母国語調査票がありました。児童と両親の母国語、そして家庭で話されている第一言語を記入して提出するのですが、その言語が英語以外の場合、児童の英語力を判断するために必ず英語の実力テストを受ける必要があるようです。
我が家はもちろん全員母国語は日本語。当然テスト対象者となります。
幼稚園申請書類を提出して数週間後にそのテストの案内が郵送されてきたのですが、そこにはテストの趣旨と、模擬試験のリンクが記載されていました。
テストの趣旨
受けるテストはELPAC(English Language Proficiency Assessments for California)というカリフォルニア州の英語力テスト。
このテストは学校の合否に関わるものではなく、児童の英語力を客観的に把握するためのものとのこと。「実力テスト」と言うと響きから身構えてしまいますが、自治体が子供一人ひとりに適した英語教育やサポート体制を提供するためのありがたいテストなのです。
模擬試験
手紙には、「模擬試験がネットに載ってるからそれで練習しておいてね!」と軽く書かれていたため、どれどれ…とチェック。学年別に模擬テストが掲載されています。
…ええええええ!?難しすぎ!!!
幼稚園児向けのテストでさえ"Listen to a conversation between a boy and a girl..."みたいな、TOEICやTOEFLによくあるやつです。その後質問に答えていきます。英語ができない我が子には難易度高すぎです。
リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの4つのセクションから成るこのELPACテスト。ちょっと難しすぎて絶望的な気持ちになりました。
長男の英語力
一時期英語のしまじろうを受講したり、保育園で月数回英語のレッスンを受けてはいましたが、テストを受けた時点で出来たのは以下のレベルです。
- 簡単な単語を言う(メジャーな動物・果物・乗り物、1〜30までの数字等)
- 簡単な挨拶(Hello, How are you?→I'm good, I'm hungry, 等)
- 簡単な質問を理解する(What's your name? How old are you?)
- ABCの歌を歌う
- アルファベット:大文字はほぼ全文字読み書きOK。たまにわからなくなる。小文字は半分くらい。
模擬テストに出てくるようなことは一切できそうにありませんでした。残念ながら、このままテストを受ければ0点になるだろうことが見えていました。
主催者にメールをしてみた
「0点っていうのは流石にまずいんじゃないか…それで入園拒否されたらどうしよう?」と不安になり、図々しくも手紙に記載されていた担当者のメールアドレスに連絡をしてみました。
内容としては、
- 最近渡米したばかりで息子はほぼ全く英語ができない。テストも恐らく0点になってしまう。それでも問題ないのか。
- 点数が低いと入園に影響してくるのか。
- 何かした方が良い事はあるか。
するとありがたいことに、担当者からなんとも優しい文面で以下のような返信が届きました。
- 英語ができなくても問題ない。
- 州の決まりでテストを受けないといけないが、試験官はすぐに子供の英語力が足りないことに気付くので、臨機応変に対応できる。
- 何点であろうと入園には影響しない。点数が低ければ低いほど学校で手厚くサポートしたいので、事前に各児童の英語力を把握しておく必要がある。
- 家庭では毎晩英語の絵本を読み聞かせたり、なるべく英語を使うこと。
- 出願した学校の校長も全力でサポートしてくれると思うので、メールをCCしておきます(!)
テスト対策
ほんの少しでもテストで答えられる部分ができれば…と思い息子に英語で話しかけてみたり、英語の本を読んだり、英語で歌ったり、英語のテレビを見せたり。色々策を練りましたが、
「やだっ!英語イヤだ!」
と毎回ごねられ玉砕。ただでさえ渡米したてで息子の精神は不安定で、これ以上ストレスを与えたくもなかったので、最後は「なるようになれーーー」と放置しました。
最終的には、「テストに一問も答えられなくても、What's your name→I'm〜 と How old are you?→I'm fourは必ず答えられるようにしていこう」と約束し、毎日毎日練習しました。(これらは元々できていましたが、人見知りな長男の性格を考えると初対面のアメリカ人を前にしてこれに答えるのは難しいと考えました。)
いざ受験
受験というと随分大げさですが、事前に電話がかかってきて決めた日時に親子でUnified School Districtの事務所に出向きました。向かう途中もひたすら、テストができなくても良いから、挨拶と、名乗りと、年齢だけは答えられるようにしよう!と話しながら歩きました。
会場に到着した時点では試験官+親子でテストを受けるものと勝手に決めつけていたのですが。なんと。母子別室と判明。
人見知りの息子はいきなり体格の良いアメリカ人にベラベラベラ〜と話しかけられて別室に連れて行かれそうになり半べそ。私の脚にしがみついて離れません。その間も試験官は息子に向かってベラベラベラ。
そして唯一頑張って練習してきた挨拶、名乗り、年齢は披露する場面が一切なく、息子困惑。
しかもこの試験官、息子がその英語を理解していないことに気付いていません。私も口を挟む暇もなくずっと喋っていたのですが、息子が何を言われているのかわからなくて泣き出したため、部屋のドアを解放したまま私のことを側の廊下で待たせてくれました。息子から私が見える位置にしてくれたのですが、これから試験が始まるので私は一切声出し&アイコンタクト禁止と言われました。
そしてテスト開始。試験官がリスニングの問題を読み上げ、息子の答えを待ちます。
息子「・・・・・・?」
当然です。何を言われているのかさっぱりわからないので。
しばらくその状況が続いた後、痺れを切らした試験官が廊下で見守る私の方を振り向いて
"Do you think he's going to answer me?" (彼、私の質問に答えてくれると思う?)
試験官は息子が緊張か反抗しているから答えないと思っていた模様。
いやいやいや…
だって、事前に責任者にメールもしたよね?!多分0点だよって言ったよね?!(この試験官はメールした相手とは別人)と思ったのですが、どうやら全く引き継ぎはされていない模様でした。
そんなこんなで全セクション短縮バージョンでテストを進め、一問も答えられず終了。
でも何がもったいなかったって、本当なら息子が答えられたような問題もあったんですよね。例えば「Strawberriesはどれ?」などの指差しや、「D E S Kの文字を書いてみて」などの書き取り問題。上記のように日本語を交えて聞けば絶対に答えられたはず。でも、その口頭指示自体が全文英語(私は口出し禁止)だから0点になってしまった。
ちょっと悔しいけれど、仕方ないですよね。だって幼稚園に行ったら私はいないし、当然日本語が出来る人なんていない。自分でオール英語の先生の指示に従って行動しないといけないから。
ELPACを受けたその後
結果
1問も答えられなかったので必然的に0点になってしまったのですが、その結果が約3週間後に郵送で届きました。そこには点数の内訳と、学校(幼稚園)で他のネイティブの子達とは分けて特別な英語教育をする時間を設ける旨が書かれていました。
ちなみにその特別な英語教育は拒否することも可能でした。
うちは喜んで承諾。
幼稚園での対応
息子のクラスは息子以外全員ネイティブレベルに英語が話せるため、特別授業を受けるのは一人だけになります。それでも我が子だけのために自治体から英語の先生が週1〜2で派遣され、幼稚園の時間内に特別サポートをしてくれるそうです。英和・和英辞典もその先生が持参して息子のために役立ててくれるとのこと。これは全て無料のサポートで、本当にありがたく思っています。
親として思うこと
息子の場合はそもそもの問題文や指示を理解する英語力が備わっていなかったため、テストを受ける意味すらなかったように思えてしまいますが、カリフォルニア州の規定ということで仕方ないですね。でも、実際に0点を取ったことにより「本当に英語ができないよ!」という客観的事実を示すことができ、その結果自治体だけでなく校長先生や担任の先生がとても目をかけてくれているので感謝しています。公立の学校(幼稚園)なのに、本当にありがたい。
息子のために派遣されてきてくれる英語の先生と二人三脚、いや、先生・息子・両親の四人五脚?で力を合わせて頑張っていきたいと思います。息子の英語力がどのくらい伸びるか楽しみです!
以上、入園前に受けた英語の実力テスト(ELPAC)と、その後の対応についてでした。
次回、いよいよ新学期に向けて揃えるSchool Supplyリストについてお伝えしたいと思います。